家族の介護や家事を担う「ヤングケアラー」
高齢化や核家族化、共働き世帯の増加などを背景に、今や、誰にでも起こり得る身近な問題です。
こども達が、ヤングケアラーを自分ゴトとして捉え、こども自身の権利の視点から考えるきっかけとして、ぜひみなさんの自治体や学校でも、出前講座を取り入れてみてください。
ヤングケアラーは、本人・保護者が「当たり前」だと思っていたり、
家庭内の問題のため人に言いにくいというこどもも多く、表面化しづらいのが現状です。
こどもたちのどんなところを見ておけばよいか? 外部機関とどのように連携すればよいか?
スクールソーシャルワーカーとして活動されている黒光さおりさんに聞きました。
「ヤングケアラーかも?」と気づくために、普段からどんなポイントに注目しておけばよいでしょうか?
特徴としては、以下のようなことが挙げられます。
ですが、これらの特徴があれば、必ずヤングケアラーである、というわけではありません。明るくしっかりしており、周りの様子をよく見て行動する児童生徒の中にも、ヤングケアラーはいます。
気付きやすいポイントは、その子らしくない行動が増えること、持っている力が発揮できなくなることなどの変化です。例えば、きっちりしたタイプの児童生徒が、「急に忘れ物が増えてくる」、「宿題ができていない」、「遅刻が増える」、「弁当を持ってきていない」、「部活や習い事をやめる」、「保健室への来室が増える」などのような変化が見られます。
ヤングケアラーかもしれないと思っても、こどもはなかなか自分のこと・家のことを話したがりません。どうすれば話してもらえるでしょうか。
児童生徒は、家庭の事情を話すことで、大切な家族が責められたり悪く思われることを強く恐れています。聞き出そうとする姿勢を前面に出しすぎると、誰しも警戒し、嫌な気持ちになります。大切なのは、事実を無理に突き止めることではありません。児童生徒にとって話したくなる信頼できる大人ができること、「いつでも聴くからね」という言葉や態度でのメッセージを投げかけ続けることが大切です。
いきなり家庭の話から始めるのではなく、普段から会話を楽しむ中で、話す準備ができるのを待ちましょう。そうすると、何気ない会話の中でポロリと家庭の話が出てくることが多いです。
また、教員自身が弱みを見せると、話しやすくなることもあります。その児童生徒にとって、どの教員や支援者なら話しやすいか、どんなシチュエーションが安心かを工夫した上で、待つことが必要です。
また、「ヤングケアラー」という言葉は、大人が児童生徒を理解するための言葉であり、児童生徒に自覚を迫るために使わないよう配慮をお願いします。
ヤングケアラーかもしれないこどもがいたときに、学校の現場だけでは対応できない部分も出てきます。そんな時はどこと連携すればよいでしょうか。
日頃からスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー、キャンパスカウンセラーなどを含めた校内支援会議で、心配な児童生徒の情報共有を行うことをお勧めします。幼稚園や保育所、小・中学校などその児童生徒が前に所属していた校園や、兄弟の所属する校園との連携により、重要な情報が得られることがあります。児童福祉関係機関と連携する必要が出てくれば、校内の意思決定に伴い、スクールソーシャルワーカーが連携の連絡調整を行います。スクールソーシャルワーカーが配置されていない学校の場合は、管理職や生徒指導担当教諭などから、各自治体の児童福祉関係機関に連絡していただくとよいでしょう。そこから、児童ケースワーカー等がその家庭に必要な関係機関(高齢、障害、保健など各関係機関)との支援の調整を行うことになります。
ヤングケアラーの場合は、心理的な支援だけでなく、家庭支援や環境調整が必要であり、関係機関との連携は大切です。個人情報に配慮の上、連携してください。
家族の介護や家事を担う「ヤングケアラー」
高齢化や核家族化、共働き世帯の増加などを背景に、今や、誰にでも起こり得る身近な問題です。
こども達が、ヤングケアラーを自分ゴトとして捉え、こども自身の権利の視点から考えるきっかけとして、ぜひみなさんの自治体や学校でも、出前講座を取り入れてみてください。